今回は、先日読んだ、凪良ゆうさんの『流浪の月』のレビューです。
第17回本屋大賞(2020年)受賞作品であり、映画化もされたそうですね。
序盤から引き込まれ、祈るような気持ちでどんどん読み進め、そして読了。
とても心揺さぶられる作品でした。
作中にはカフェやコーヒーが出てきますが、これはストーリーの中でも重要な要素。
今回はそんなコーヒーに注目してレビューしたいと思います。(コーヒーに関する記事が多い当ブログですので…)
ネタバレやん!ってなるかもなので、読む前に情報を仕入れたくない方はご注意ください。
それではレビューです。
小説『流浪の月(るろうのつき)』凪良ゆう レビュー
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あらすじ
周りから「浮世離れしている」と言われるほどに自由な家で育った更紗(さらさ)。
少し周囲とは違うけれど、仲のいい両親、美しいと思うもの、お気に入りのものに囲まれた、ささやかながらに幸せな毎日。
しかし、両親がいなくなり、伯母の家に引き取られ、更紗の生活は一変する。
疲れ果てた更紗がついて行ったのは「ロリコン」だとうわさされている男、佐伯文(さえきふみ)。
そこから運命の歯車が、異音を発しながら回っていく。
レビュー
読み始めると、更紗の幸せを願わずにいられません。
どうかこの子が幸せであってほしい、どうか救われますように。
事態が好転することを祈りながら読み進めますが、なかなかそうはならないのが歯がゆいところ。
それどころかどんどん状況は悪くなるばかり。
ああ!何も悪くないのに、どうしてこうなってしまうんだろう。
人の好奇心や同情、時にやさしさまでもが、当事者を追い詰めてしまいます。
この話はフィクションだけれど、かみ合わないやさしさに心を閉じるその様は、とてもリアリティがあって、時に読み手のつらい記憶を思い起こさせるものかもしれません。
コーヒーに注目してストーリーを読む
コーヒーを中心にこのストーリーを語るなら、佐伯文目線でこんな感じになるでしょうか―――
”無限としか言いようのない時間の中で、僕はひたすらコーヒーを淹れる。
試行錯誤を繰り返し、淹れ続けることで、どうしようもない人生を埋めるかのように。
そして今待ち続ける。コーヒーを淹れながら。
会えるかどうかもわからない、会わない方がいいのかもしれない君を―――”
あんまりネタバレしてもあれなんで、詳しくは書けないですが、コーヒーはこの物語に常に寄り添っています。
冒頭に出てくるファミレスの煮詰まったコーヒー、3種類のブレンドしか置いていない夜間オープンの喫茶店、舌が痺れるほど甘いガムシロップたっぷりのアイスコーヒー、クマが描かれたデザインカプチーノ、そして、絶品コーヒーとモーニング。
このどうしようもないストーリーの中で、コーヒーはひとすじの光となる存在でもあります。
ぜひ、コーヒーに注目して読んでみてくださいね。
著者 凪良ゆう(なぎらゆう) さんについて
1973年滋賀県出身。京都市在住。
2007年に初著書が刊行され本格的にデビュー。
10年以上BLジャンルで活躍。代表作に「美しい彼」シリーズなど多数。
2017年初となる文芸書『神さまのビオトープ』を刊行し高い支持を得る。
2020年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。
『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞ノミネート。
直木賞候補、吉川英治文学新人賞候補などに選ばれた『汝、星のごとく』にて、2023年2度目の本屋大賞を受賞。
凪良ゆうさんの他の作品を読んでみたい、と思って検索すると、たくさんのBL本がヒットします。
「???」ってなりましたが、それであってるんですね。
2度目の本屋大賞受賞作、『汝、星のごとく』も未読なので読まなきゃ!
***
こうして調べていて知ったのですが、著者自身母子家庭で育ち、小学6年生で母が帰ってこなくなり、児童養護施設で暮らしたのだそうです。
『流浪の月』の更紗と重なりますね。
15歳で高校を中退し、社会人として自立。連絡が取れるようになった母に仕送りを続けていたそうです。
過酷な境遇ですが、絶望しなかったのは物語のおかげだったといいます。
本屋で毎日立ち読みをし、中学生のころには漫画家になろうと投稿。
結婚し、生活に余裕が出てきたころ、小説を書くことに夢中になり、30代で作家デビュー。
その後、作家生活の中で離婚。
あまりにも荒波を渡るような経歴ですよね。
「順風満帆じゃないから書き続けてる」インタビューにそう答える凪良さん。
自分ではどうにもならない過酷な境遇を好転させた強さ。
その強さも『流浪の月』の更紗に通じるものがあると思いました。
参考:Wikipedia 凪良ゆう
VERY 読み物・インタビュー 2度目の本屋大賞受賞『汝、星のごとく』凪良ゆう「順風満帆じゃないから書き続けてる」(2023.04.27)
monokaki(by エブリスタ)「世界との折り合いが悪い人たち」に寄り添う|凪良ゆう インタビュー(2020.6.19)
読売新聞オンライン 15歳で1人で生きる決意、本屋大賞の作家・凪良ゆうさんを絶望から救った「物語」…STOP自殺 #しんどい君へ(2023.08.28)
mi-mollet(ミモレ) 凪良ゆう「35歳で作家になり、迷い続けてたどり着いた今」――新刊『汝、星のごとく』に本屋大賞受賞作家が託した想い(2022.9.7)
まとめ
今回は、凪良ゆうさんの『流浪の月』をレビューしました。
タイトルにコーヒーを思わせるものなんてないんですが、読んでみると、けっこうコーヒーが出てくるんですね。
それでコーヒーに注目して再読してみると、この話にコーヒーは欠かせないな…なんて思ったわけです。
そういうわけで、この記事を書いてみました。
未読の方も、既読の方も、よかったらぜひコーヒーに注目して読んでみてください!
ではまた。


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