もうすぐイースター。
「イースター」と言われてもピンとこないのが正直なところ。
キリストの復活祭なんだとか。
「春分の日の後にやってくる満月の日の次の日曜日」が、その日にあたるそうです。
…う~ん、日付の設定も複雑ですね…今年、2023年は4月9日(日)だそうですよ。
特に家庭で何をするという予定もありませんが、イースターにちなんでたまごの本をご紹介。
いつかイースターも、ハロウィンみたいにメジャーなイベントになるんでしょうか?
あらすじ『たまごのはなし』【小学校低学年から 大人も】
たまごのはなし
作: しおたに まみこ
出版社: ブロンズ新社
発行日: 2021年02月19日
ISBN: 9784893096838
縦210mm 横148mm
48ページ
やあ こんにちは。
わたしは たまご。
いまから、
わたしのはなしを するからね。
よく きいておくんだよ。
こんな出だしではじまる『たまごのはなし』は、「めを さましたら」「さんぽ」「あめのひ」の3つのお話からできています。
それでは、それぞれのおはなしのあらすじです。
めをさましたら
キッチンでずっところがっていたたまご。
ある日突然思った。
「どうして わたしは いつまでも こんなふうに ころがっているんだろ」
立ち上がってみるととてもいい感じ。
他のたまごにも教えてあげよう。
けれど無理やり起こそうとしたたまごはごろごろ転がって、ごつんとひび割れ。
次にマシュマロをおこそうとするけれど、だれも起きない。
ひとくちかじるとマシュマロが言った。
「なんで かじるのさ?」
そこで初めてたまごは気づく。
自分がまだ一度もしゃべったことがないってことを。
知っているかい?
自分が考えていることは、話さなければ相手にはほとんど伝わらないんだって。
さんぽ
たまごとマシュマロはとても暇だったので、おしゃれな帽子をかぶって散歩へ。
初めてキッチンを出る。
すると、動き回る彼らにいろいろなものが話しかけてくる。
動き回る彼らを「みっともない」と言う植木鉢、あなたたちのことが「しんぱいよ」と繰り返すクッション、自分には大事な仕事があるけれど、君たちは「かってきまま」で「ゆうがでけっこう」という時計。
二人は植木鉢の口にテープを貼り、クッションの心配をしてあげて、時計の電池を抜いてあげた。
あめのひ
あめのひ、たまごは考えごとをしている。
わたしはどんなたまご?
いいたまご?わるいたまご?
出かけていたマシュマロが、ナッツたちのケンカの話をする。
ナッツたちは、お互いのちょっとした違いに文句をつけ、けんかしているのだという。
そこでたまごは、ナッツたちにはちみつをかけて、ぐちゃぐちゃに混ぜてやった。
ナッツたちはものすごく怒っている。
でもけんかはやめていた。
今のわたしはいじわるたまご。
マシュマロに言わせれば、わたしはへんなたまご。
ナッツたちにはわるいたまご。
わたしの中にはたくさんのたまごがかくれている。
レビュー『たまごのはなし』
たまごの話は、ちょっとスパイスが聞いた考えさせられるものばかり。
読んであげるなら小学校低学年くらいから読めるのではないかと思いますが、大人こそ深読みしたい内容です。
日常生活に起こりえるちょっとした問題ごとや悩み、大きな社会問題、私は何者かという哲学的なことにいたるまで、考えさせられます。
作者 しおたに まみこさんについて
しおたに まみこ(しおたにまみこ)
絵本ナビより
1987年、千葉県生まれ。女子美術大学工芸学科卒業。背景美術制作会社勤務を経て、絵本作家となる。はじめて制作した絵本『やねうらおばけ』が、2014年第15回ピンポイント絵本コンペ優秀賞を受賞。繊細な鉛筆画で描き出す独特の世界が、読者を引きつける。作品に『そらからきたこいし』『やねうらべやのおばけ』(ともに偕成社)などがある。東京都在住。
繊細な鉛筆がで描かれたシュールな絵、めちゃくちゃひきつけられますね。
ときおり出てくる、文字のない見開きのページには「わぉ…」と思わず声が出ます。
なんというか、しおたにさんの世界観がぐぐぐっと迫ってくるような静かな迫力です。
そしてそんなインパクトのある絵にふさわしい、ピリリとした内容。
きっと、この本は、著者がこれまで考えてきたことがぎゅぎゅ~っと詰まった1冊なのではないかと思います。
しおたにさんがどんなことを考えているのか、興味深々。
これからも大注目ですね。
まとめ
今回はイースターにちなんで、しおたにまみこさんの『たまごのはなし』をご紹介しました。
とてもシュールで大人心をくすぐる1冊です。
先日、しおたにまみこさんの新刊が出ました。
この本の続編となる『いちじくのはなし』です。
こちらもぜひブログで紹介したいと思います。
ではまた。
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