先日、読んだ本のレビューです。
アップルパイ、めっちゃおいしそう~。
ステキな表紙に惹かれてジャケ買いしてしまいました。
絶対おいしいものが出てくる物語ですよね、これは。
がんばることにちょっと疲れた。そんな方におススメの1冊でした。
『今宵も喫茶ドードーのキッチンで』はこんな本 | あらすじ&レビュー
※画像は楽天ブックスにリンクを貼っています。Amazon、Yahoo!の方は記事の一番下にリンクあります。
あらすじ
住宅地の奥、木々に囲まれた場所にひっそりと佇む、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。
この喫茶店には、いつもがんばっているけれど、少し疲れてしまったお客さんが、ふらりと訪れます。
ちょっとクセのある店主そろりが、こだわりのメニューでもてなします。
レビュー
私がこの本を最初に開いたのはコーヒーショップの喫茶席でした。
コーヒー豆を用意していただいてる間に読み始めたら、1話目からコーヒーのお話で始まりました。
う~ん、なんて完璧な読書環境。
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翻訳家の小橋可絵は、コロナ禍で多くの時間を自宅で過ごします。
SNSで流れてくる「#ていねいな暮らし」にあこがれ、実践しようとするけれど、そんな生活に少しずつ疲れを感じています。
ふらりと訪れた〈おひとりさま専用カフェ 喫茶ドードー〉。
用意されたメニューは「免疫力を上げるコーヒー」。
それはショウガとシナモン、カルダモン、八角とブラックペッパーが少々入った、フレンチプレスで飲む体が温まるコーヒーでした。
二度目に訪れた時は、「自己肯定感を上げるコーヒー」。
それはお湯を沸かしたやかんに、直接コーヒーの粉を入れて飲む、やかんコーヒー。
やかんの底に溜まったコーヒーの粉から出る雑味。
それを口にしているうちに様々な思いが湧き、自問自答していきます。
***
こんな風に、喫茶ドードーを訪れたお客さんは、自分を見つめ直し、店主そろりと少し言葉を交わし、元気になってお店を後にします。
しかし、このメニュー名にも表れているように、もてなし方にも店主そろり独特のこだわりが。
読んでいると、時に「なんだかちょっと理屈っぽい」と感じるセリフも。
どうやらそろりはかなり不器用な人のようです。
こだわりが強く、コミュニケーションは得意でなく、とても優しい。
そんな彼のキャラクターだからこそ、一見お説教のようにも読めるそろりの言葉も、愛嬌となって受け入れられるのかもしれないですね。
***
この物語は、語り手、店主そろり、短編の主人公それぞれの視点から語られます。
ですます調の語り(店に飾られたドードーの絵の視点でしょうか)が入るその世界観が、Eテレの番組にありそうな雰囲気です。
それぞれの短編は少しずつつながっていて、読み終わるともう一度読み返したくなります。
著者 標野凪(しめのなぎ)さんについて
短編の中には、翻訳家、保育士、雑貨店店長、美容師、テキスタイルデザイナーという、バリバリ働く女性たちが出てきます。
なのできっと著者もこれまでバリバリ仕事をしてきた、いわゆる「デキる」タイプの方だろうなあと想像していました。
調べてみると、まさにその通り!でもそのキャリアは想像以上!
著者、標野凪(しめのなぎ)さんは55歳(2023年12月時点)。
これまで、出版社の営業、グラフィックデザイナー、その後、2級建築士の資格を取得し、「柳本あかね」の名で建築関係の本も出版されているのだとか。(参考:「東京新聞」TOKYO Webインタビューより(2023.12.10))
そして現在、現役でカフェの経営をされています(本書見開き著者紹介より)。
こんなにも異なる分野でご活躍されているとは…その多才さよ…
インスタを見ると「お茶とお酒 茜夜」というお店のようです。
執筆活動もお忙しいようで、今は不定期営業となっていますが、飲食店経営はもう11年も続けていらっしゃるのだとか。
お写真を見ると、きっとすてきなお店なんだろうなあと思います。
Instagram↓↓↓
ホームページ↓↓↓
カバーイラストレーション ヤマナカハルナさんについて
この本を読むきっかけとなった、アップルパイを描いた方についても調べてみました。
イラストレーターのヤマナカハルナさんは、1993年生まれ、東京在住。
東京造形大学デザイン学科卒業。青山塾修了。2019年よりイラストレーターとして活動。TIS会員。
第219回ザ・チョイス準入選。 第18回TIS公募入選・竹尾賞・日本郵便賞。
画材は水彩紙に水彩絵の具、パステル、アクリル絵の具、色鉛筆で描かれているようです。
いろいろな情報をつなぎ合わせるとこんな感じでしょうか。
食べ物のイラストをたくさん描かれている作家さんのようです。
どれもほわっとやさしい雰囲気の食べ物イラストです。
こちらが公式サイトだと思います↓↓↓
他にもいろいろなサイトでイラストの販売もされているようですよ。
まとめ
標野凪さんの『今宵も喫茶ドードーのキッチンで』は、仕事に邁進する女性たちが、ちょっと立ち止まって前向きになれる、そんなお話でした。
2年前の出版で、コロナ禍真っ只中のお話なのですが、昨年すでにシリーズ最新作が出ています。
今度はあんパンですね。今回もおいしそうだわ。
ではまた。
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